2014年1月12日日曜日

レコーダーはディベーターの必需品?


日本人ディベーターって音源録るの好きですよね。
大会のブレイクラウンドになると一番前の机の上とかレコーダーとかスマホでいっぱいになってたり(笑)
多分コミュニティでスカイドライブとか使って大会ごとの音源を共有してるとこも多いんじゃないんですかね。


なんでこんなこと書くかというと、いくつか理由があります。

一つ目は、これは個人的に驚いたことでもあるんですが、ヨーロッパの大会とかだとディベート録音しようとしてる人を全くと言っていいほど見たことないです。

ライデンに来たばっかの時は、毎回のように練習の際音源録ってたら、オランダ人の友達に「なんで音源録ってんの?」と不思議そうな顔で聞かれました、その子はその時は面白がって真似して一緒に録音してましたが(笑)

なのでこの違いは何なのかなーと時々考えてみたら、ヨーロッパと日本のディベートに対する考え方とか姿勢の違いが見えて面白いかな、と思います。

まあ一つ大きな理由として考えられるのは、英語力自体に差があるので、ヨーロッパ圏の人たちはその場でリラックスしながらある程度ラウンドを理解できるのに対して、日本人だと理解するのに何回か聞きなおす必要がある、ってのがあげられるかもしれません。

もう一つは、かなり僕自身の印象なのですが、ヨーロッパのディベーターはラウンド見るとき、観戦するっていう行為自体を楽しんでいるような気がします。
あまり今後の練習とかのことは意識せずに、リラックスしながら、サッカーの観戦をするくらいの心構えで楽しみながら見てる、みたいな。
もちろん個人差はありますし、くどいですがかなり感覚レベルで書いています(笑)


で、ここからがある意味本題(?)なんですが、みなさん録った音源をどのように使ってますか?
もしくは何のために音源を録っているのか?

ていうのは、僕も周りの人の真似して音源録る習慣がついてはいたのですが、実際にその音源を有効活用できた記憶がほとんどないです。
まあ録るだけならスイッチ押してレコーダー置いとくだけでほとんど労力はいらないですから、「念のため」録っとくのは全然合理的だと思います。


単純にディベートを聞くのが好きで、ヒマな時に娯楽として聞くみたいな感じで聞くのは個人的にしっくりきます。
それで、あわよくば少しでもディベートのアイディアとか、かっこいい言い回しとかが手に入ればラッキーって感じです(笑)


ここでもう少し質問を絞りたいと思います。
「音源を聞く作業はディベートが強くなるために効率的な練習方法なのか?」
動画とかも同じ類です。


僕自身の、結論から書くと、音源を聞いたり動画を見たりするのは、あくまで補助的な作業であって、それ単体で何か爆発的に実力が伸びるものではないと思います。

なんで一見こんなありきたりなことをわざわざ大げさに書いたかというと、
・みんなが音源を録ったり・聞いたりしてるから、それらが上手くなるために必要不可欠なステップだと思い込んでる人
・みんながやってるから、音源をたくさん聞けばそのうち上手くなると思ってる人
・トップディベーターの音源だからと言って批判的に見る作業をせず、安易に実際のラウンドで猿まねする人
などなど、こういう傾向のある人は一定数いるんじゃないかなと思うからです、意識してるか無意識かは関係なく。
そういう人たちは、たとえば実力で伸び悩んだ時に、「こんなに"努力"してるのになんで上手くならないんだ」とか、上手い人の真似してみて評価されないと「やはり自分には向いてないんだ」などとネガティブな方向に気持ちが向いてしまうかもしれないんじゃないか、と勝手に一人で危惧してる次第です。


僕が一番音源で問題視するのは、音源を聞くという作業は本質的に受動的なので、あくまで明確な目的をもって意識的に聞かないと、ただのBGMになっちゃうんですよね。
馬の耳になんたらってやつです。


音源から何かを学び取ろうとするには、ある程度前提となる「知識」や「視点」が
必要です。
たとえば、前回の記事で紹介したワールズの決勝のPMの話も、僕自身あの記事で書いたことを学ぶまでは「なんかめっちゃ丁寧にDefinitionしてるなー、さすがMonash」くらいにアホ丸出しでぼけーっとして聞いてました。
2010年のワールズのGFのCOの議論とかも、ある程度過去の紛争に対する理解が無いと、実際のラウンドで使えるレベルまで理解するのも難しいと思います。(この動画については改めて個人的な意見なども書こうと思ってます)
つまり、面白いロジックとかアイディアとかが話されていても、その背景知識の量や英語力によって得られるものの量に関しては相当な個人差が出ます。

あとは、音源の「質」の問題です。
自分のレベルにあった音源を探し出すのは思っているより難しいと思います。
ワールズのGFなどは正直レベルが高すぎて、日本のトップディベーターでも正しく理解できる人は少ないんじゃないかと思うレベルのものさえあります。
かと言って日本の大会の音源だと、割とGFでもmotionのcore issue外しまくってて、かろうじてそれに近いことを言ってるチームが優勝してるみたいなこともあるので、批判的に見る能力が無い状態で盲目的に見ると、間違った理解や見方を身に着けることになるので注意が必要ですし。
(実際に自分のとこの後輩が物まねしてるのを見たことがあって、ちょっと危機感を思えました笑)


長くなりましたが、まとめますと、音源を聞くという「練習方法」を選択する際は、その性質やリスクをある程度認識したうえで聞くのが、効率的な練習をするうえで不可欠だということ。
音源を聞く以外に、というより聞く以前の段階で、基本的なArguementの作り方を確認するためにレクチャー資料をよむだとか、背景知識の理解を深めるために本を読むだとか、他にもいろいろやれることはあるということ。
もちろん、音源を聞くなという気はさらさらないです、むしろ上手く使える人にとってはかなり強力な武器になりますから。
ただ使う際は、ここに書いたようなことをある程度踏まえたうえで活用するべきだと思います。

あとしつこいですが、強くなることとか効率的な練習方法のみに重きを置いてない人は聞き流してください。
娯楽みたいな感覚で楽しみながら動画を見るっていう人や、そもそもそんなこと言われなくても分かってる人にとっては余計なおせっかいですしw


最後に、ある程度経験を積んだディベータ-の方とかは、ワールズのグラファイとかの有名なラウンドについての見解とか見方とかを発信したら、後輩とかにとっては非常に助かると思います。
よく、この動画や音源はいいから聞いてみろと後輩に言ったり、ネット上で紹介したりしてる方はよく見かけるんですが、どうしていいのか、どのように見ればいいのかっていう点に深く言及してる人をあまり見かけないなーという印象を持っています。
たとえば、個人的に大好きな加藤さんのブログ(http://debatejiyucho.blogspot.jp/)では、加藤さんがたまにお気に入りの動画を紹介されているのですが、いつも加藤さんはなんでこの動画を好きになったのか、具体的にどうやって動画を評価しているのか、など聞いてみたいなーなどと思いながら見ています(笑)
ある程度経験を積んだディベータ-同士で集まって、ある動画の研究会・勉強会みたいなものを開いても面白いかなーと思います、そこで見解を共有できれば後輩にも教えやすくなりますし。

僕自身も、ネット上にある動画について今後可能な限り自分なりの見方を思い切って書いて行けたらなーと思います、批判やらは受けるでしょうが(笑)
ただ、そうやってディスカッションが起こって、レベルの高い動画についての見方が少しづつ形成・共有されれば、もっといろんな人がそういう質の高い動画から学べる機会が増えると、後輩が成長するための選択肢が増えますし、日本のディベートコミュニティのレベルも上がると思います。

なんか最後の部分は薄っぺらいPublic discourceの議論みたいになってしまいましたね(笑)
でわでわ。。

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